Flex Logs (フレックスログ)

Flex Logs は、ログの保存 (Storage) と検索の計算資源 (Compute) を切り離して別々に選ぶ、Datadog Log Management の長期保持向けの層。保存は件数で、検索の速さは組織で 1 つ選ぶ Compute size で決まる。

概要

Flex Logs は、Datadog のログを Standard Indexing より長く、安く残すための層です。Standard Indexing が保存と検索を一体で提供するのに対し、Flex Logs では保存する件数と、検索に使う計算資源 (Compute) を別々に決めます。見返す頻度は低いのに長く残す必要がある監査ログやネットワークのログを扱うときに気にする概念で、Compute size の選び方とモニターに使えない制約を知らずに索引を組むと設計を誤ります。

保存する量と検索する力を別々に選ぶ層

Flex Logs は、Datadog Log Management の中でログを長く残すための層です。ログインデックス の Standard Indexing は保存と検索の能力が一体で、残す日数を延ばせばその分だけ単価が上がります。Flex Logs はこの結び付きを解き、保存 (Storage) は残した件数で、検索 (Compute) は組織で選んだ計算資源の大きさで、別々に決めます。公式ドキュメントは、保存と計算のコストを切り離すことで長期保持を安く提供できると説明しています (2026 年 9 月時点・出典: Flex Logs)。この分離があると、保持期間 を延ばす判断と、検索の速さにいくら払うかの判断を別々に下せます。

Compute size は 5 段、組織に 1 つ

Compute は Flex Logs 層のログを検索するときだけ使う計算資源で、取り込みや、Standard Indexing だけを対象にした検索には使われません。段は Starter、Extra small (XS)、Small (S)、Medium (M)、Large (L) の 5 つです。1 段上がるごとに検索の性能と容量が前段の 2 倍を目安に増え、同時に走らせられるクエリ数と 1 クエリで走査できるログ数の上限が段の実体です (2026 年 9 月時点・出典: Flex Logs)。段を決める最大の要因は Flex 層に貯まった件数で、公式ドキュメントは累計の目安を次のように示しています。

Compute size と保存件数の累計の目安
Compute sizeFlex 層に保存した件数の累計
Starter100 億件未満
Extra small (XS)100 億〜500 億件
Small (S)500 億〜2,000 億件
Medium (M)2,000 億〜5,000 億件
Large (L)5,000 億〜1 兆件
出典: Flex Logs の Determine the compute size that you need 節 (2026 年 9 月時点)

1 つの組織で同時に使える Compute size は 1 つで、Starter とスケーラブルな段の併用も、複数の組織での共有もできません。US3、US5、AP1、AP2、US1-FED、US2-FED で選べるのは Starter、XS、S の 3 段です (いずれも 2026 年 9 月時点)。

有効化と解除に付く 3 つの制約

Flex Logs の有効化と無効化は組織単位で行い、flex_logs_config_write 権限が要ります (2026 年 9 月時点・出典: Flex Logs)。Flex Logs Starter だけは、契約に無くてもセルフサーブで有効化できます。入口は Flex Logs Control ページで、Compute Type と段を選んで Enable Flex Logs を押します。戻す側には 3 つの制約があります。XS 以上の段はいつでも上げられますが、下げられるのは 15 日に 1 回です。Starter からスケーラブルな段へ契約を変えても自動では反映されず、同じページで段を選び直して Save が要ります。Flex Logs 自体を無効化するには、先に全てのインデックスから Flex Storage を外し、その後で歯車アイコンから Disable Flex Logs を選びます。索引に Flex 層が残る間は解除できない順序です。

直接 Flex へ送ってよいログの見分け方

どのログを Flex Logs に置くかは、量が多いか、見返す頻度が低いか、長く残す必要があるか、の 3 つで見分けます。公式ドキュメントはこれに当たるログ源を Flex 層の候補と呼び、Standard Indexing を経由せず直接 Flex 層へ送ってよい例を種類ごとに挙げています (2026 年 9 月時点・出典: Flex Logs)。

直接 Flex 層へ送る候補として公式ドキュメントが挙げる例
種類例
監査ログKubernetes の監査ログ / Microsoft 365 の監査ログ
CDNCloudFront / Fastly / Cloudflare
ロードバランサーAWS ELB / ALB / NLB / NGINX
ネットワークAmazon VPC Flow Logs / WAF
CI/CDGitHub Actions / Jenkins / Argo CD
出典: Flex Logs の Potential sources for sending directly to Flex Logs 節から抜粋 (2026 年 9 月時点)

一方、アプリケーションログのように障害対応やアラートに使うログは、まず Standard Indexing に置き、その後の期間を Flex で延ばす使い方が案内されています。保存の課金は、Flex Storage が保存 100 万イベントあたりの月額で、検索の計算資源 (Compute size) は別の SKU として課金されます (出典: Datadog Pricing)。本記事は課金の仕組みを解説するものです。具体的な単価や料金は Datadog 公式の料金ページで確認してください。3 層の課金単位の比べ方と層の選び方は ログ料金の 3 層 に委ねます。

安いのは保存で、遅いのは Compute の詰まり

Flex Logs で読み違えやすいのは 3 点です。1 つ目はモニターです。Flex 層のログはモニターと Watchdog の対象にならず、Standard Tier を外して Flex Tier だけにした索引のログは、モニターと Watchdog Insights から消えます。2 つ目は検索の切り替えで、Log Explorer では Include Flex Logs を有効にしたときだけ Flex 層のログが結果に含まれます。3 つ目は遅さの原因です。同時に走るクエリが Compute の上限に達すると、クエリは空きが出るまでリトライを繰り返して遅くなります。何度もリトライすると失敗し、Flex Logs compute capacity is constrained というエラーが出ます (いずれも 2026 年 9 月時点・出典: Flex Logs)。検索の遅さは保存量ではなく Compute の詰まりだと切り分けるのが基本です。

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