ログアーカイブ
ログアーカイブとは、Datadog に取り込んだログを、インデックスに入れたかどうかに関わらず自分のクラウドストレージへ転送して長期保存する仕組みのこと。保存先から Datadog へ戻して検索する操作をリハイドレートと呼ぶ。
概要
ログアーカイブは、Datadog が取り込んだログを Amazon S3 や Azure Storage、Google Cloud Storage といった利用者自身のストレージへ転送し、圧縮した JSON として保存する仕組みです。インデックスから除外したログも対象になるため、検索できる期間を短くしてもログそのものは手元に残せます。後から調べたくなったときは、期間とクエリを指定してリハイドレートを行い、Log Explorer で検索できる状態に戻します。気にする場面は、監査や法令対応で長期保存が求められるときと、保持期間を過ぎた障害を事後に調べるときです。費用はストレージ側の料金に加え、戻すときにスキャンした量と再インデックスした量で決まります。
インデックスに残らないログの行き先
ログアーカイブは、Datadog に取り込んだログを、インデックスに入ったかどうかに関わらず自分のクラウドストレージへ転送する設定です。公式ドキュメントはこの仕組みを、保存に最適化した置き場でログを長く保ち、法令や監査の要件を満たしながら、必要なときに調べ直せる状態を保つものと説明しています (2026 年 9 月時点・出典: Log Archives)。ログインデックスは検索のための置き場で、保持期間を過ぎたログは消えます。アーカイブはその外側にある、消さないための置き場です。除外フィルターでインデックスから落としたログも転送されるため、検索対象を絞って費用を抑えつつ、原本は捨てない運用が組めます。
取り込み後の分岐 - インデックスとアーカイブは別経路
取り込まれたログがパイプラインで加工されたあと、経路は 2 つに分かれます。1 つはインデックスへ入って検索可能になる経路、もう 1 つはアーカイブへ転送される経路で、両者は独立しています。
- 取り込み: Agent や転送元から Datadog に届く
- 加工: ログパイプラインで属性を整える
- インデックス: 保持期間の間だけ検索できる置き場に入る
- アーカイブ: 除外したログも含めて自分のストレージへ転送される
- リハイドレート: 期間とクエリを指定して検索できる状態へ戻す
転送に成功したログの量は datadog.archives.logs.bytes と datadog.archives.logs.count というメトリクスで追えます (2026 年 9 月時点)。転送が止まっていないかを確かめる手段があるのは、原本を預ける仕組みとして大事な点です。
宛先は 3 つ、順番は 1 つ
宛先として選べるのは Amazon S3、Azure Storage、Google Cloud Storage の 3 つです (2026 年 9 月時点)。設定には対象クラウドのインテグレーションとバケット、Datadog が書き込むための権限が必要で、操作できるのは logs_write_archive 権限を持つユーザーに限られます。手順そのものは公式ドキュメントと ログ管理の解説に委ねます。アーカイブは複数定義でき、ログは条件に一致した最初のアーカイブに入ります。env:prod で絞ったアーカイブを先に、条件なしのアーカイブを後に置けば、本番のログと残りを別のバケットに分けられます。順番を逆にすると全部が条件なしの側へ入るので、並び順は設計の一部です。保存形式は圧縮した JSON で、既定は zstd の .json.zst、gzip も選べます。ファイルは日付と時刻のディレクトリに分けて置かれます。
読む経路は 2 つ - Archive Search とリハイドレート
アーカイブにあるログを読む経路は 2 つあります。公式ドキュメントが推奨するのは、再インデックスせずにアーカイブから直接検索する Archive Search で、課金はスキャンした量だけです。全機能で扱うか長く保持したいときに使うのが、検索に最適化された Log Explorer へ取り戻すリハイドレートです。リハイドレートは期間とクエリを指定した「履歴ビュー」の単位で実行し、1 回に戻せるのは最大 10 億件、除外フィルターは適用されません (2026 年 9 月時点・出典: Rehydrating from Archives)。対象は、S3 のロール委任のように読み取り権限を与えたアーカイブだけです。戻したログを検索できる期間は既定 15 日で、管理者は戻せる件数の上限と保持期間の候補を設定できます。スキャン量は期間内に保存された全ログの量で決まり、一致した件数ではありません (クエリは取得後に適用されるため)。期間を短く切ることが最も効くと公式ドキュメントは述べています。
費用はスキャン量と戻した量で決まる
アーカイブの保存料はクラウド側に払うもので、Datadog の料金表には現れません。Datadog 側で発生するのは読み出しの費用です。リハイドレートは、スキャンした圧縮データの GB 数に掛かる単価と、再インデックスされたログに対する契約中のインデックス単価の 2 本立てです。Archive Search はスキャンした GB 数に掛かる単価だけで済み、インデックス単価は発生しません (2026 年 8 月時点の課金構造・出典: Datadog Pricing)。本記事は課金の仕組みを解説するものです。具体的な単価や料金は Datadog 公式の料金ページで確認してください。単価の読み方は保持期間の項とログ料金の解説に委ね、ここでは何が量を増やすかだけ押さえます。広い期間を漫然と戻すとスキャン量で、条件を緩くして大量に戻すとインデックス量で費用が伸びます。アーカイブごとに最大スキャンサイズを設定しておくと、見積りがそれを超える実行を止められ、期間を狭めるよう促せます。
アーカイブは保持期間の延長ではない
アーカイブを設定しても、検索できる期間は延びません。検索できるのはインデックスにある間だけで、アーカイブにあるログは、Archive Search で直接読むか、リハイドレートで戻す操作を経て初めて検索対象になります。戻すには操作と費用がかかり、戻したログにも別の保持期間が付きます。だからアーカイブが向くのは、いつ要るか分からないが捨てられないログの置き場としてです。監査で過去 1 年分の認証ログを求められた、保持期間を過ぎた障害の原因を後から追いたい、といった場面で、期間とクエリを絞って必要な分だけ戻します。日々の調査はインデックスと Live Tail で行い、アーカイブは保険と位置づけるのが基本です。