Cloud Security

クラウド設定の誤り、権限のリスク、脆弱性を 1 つの画面で見つけて直す製品で、旧称は Cloud Security Management (CSM) です。Agent なしで全体を走査でき、Agent を置くと実行時の文脈が加わります。

何ができるか

AWS / Azure / GCP のクラウド設定を継続的に監査して誤設定を見つけ、IAM の権限リスクを評価し、ホストとコンテナイメージ、サーバーレス関数の脆弱性を検出して優先順位を付けます。結果は Findings に集まり、修正手順の提示、通知、Jira 連携で対応の完了まで追えます (2026 年 9 月時点)。

どのような場面で使うか

監査のたびに「ストレージが公開になっていないか」「使っていない管理者権限が残っていないか」を手作業で確かめているチームの自動化が出発点です。監視で既に Agent を入れているホストの脆弱性を追加設定で見たい、CI の段階でコンテナイメージを走査したい場面にも向きます。

身近な例え

住宅団地の建物診断に近い存在です。外観と図面からの診断 (Agentless) は全棟を同じ周期で調べて規定に合わない箇所を一覧にし、立ち入り調査 (Agent) は室内の使われ方まで見て、どの不具合を先に直すべきかの順位を付け直します。

誤設定、権限リスク、脆弱性を 1 製品で見る (旧称 CSM)

Cloud Security は、クラウド基盤の設定監査、ID 権限のリスク評価、脆弱性検出を 1 つの基盤で提供する製品です。製品名は Cloud Security に改められ、旧称は Cloud Security Management (CSM) で、料金ページのカード名は 2026 年 9 月時点で CSM Pro / CSM Enterprise のままです (出典: Cloud Security)。Misconfigurations は本番環境の設定の衛生状態とコンプライアンス姿勢を追い、監査証跡の収集を自動化します。Identity Risks は AWS IAM / Azure / GCP の権限リスクを継続的に洗い出します。Vulnerabilities はコンテナイメージ、ホストイメージ、稼働中ホストの脆弱性を検出して優先順位を付けます。ログから攻撃の痕跡を見つける仕事は Cloud SIEM の領分で、本製品は構成と中身の危なさを見る側です。

Agent なしで何が見え、Agent を足すと何が変わるか

公式の導入手順は、Agentless Scanning を有効にしてから重要なホストへ Datadog Agent を配備する順です。Agentless Scanning は AWS / Azure / GCP を最も広く覆い、全てのホストと稼働中コンテナを走査します。Agent を足すと、実行時の文脈に基づく脆弱性の優先付け、リアルタイムの更新が加わり、脆弱性の更新頻度は Agentless の 12 時間からリアルタイムに変わります (2026 年 9 月時点・出典: Setting Up Cloud Security)。裏返すと、Agent だけでは Identity Risks とホストのベンチマークは埋まらず、Agentless だけでは実行時の文脈が付きません。Agent が既にあるホストは Agent 側、無い所は Agentless という分け方が公式の推奨と一致します。

観点AgentlessAgent (unified Datadog Agent)
配備にかかる時間数分数時間から数週間
脆弱性の更新頻度12 時間ごとリアルタイム
脆弱性の優先付けありあり (実行時の文脈つき)
検出する範囲 (ホスト / コンテナイメージ)OS パッケージとアプリのパッケージOS パッケージ
対象クラウドAWS / Azure / GCPAWS / Azure / GCP / オンプレミスほか
サーバーレスとレジストリ対象 (対応範囲は公式表参照)対象外
出典: Cloud Security Vulnerabilities の Deployment methods 節 (2026 年 9 月時点)

誤設定と脆弱性はどう違うか

誤設定 (Misconfiguration) は、クラウドやインフラの設定の状態が検出ルールに照らして望ましくないことで、ルールは設定の状態を走査して規定に合わない資源を見つけます (2026 年 9 月時点・出典: Cloud Security)。脆弱性 (Vulnerability) は、ホストやコンテナイメージ、サーバーレス関数に含まれるパッケージに既知の弱点 (CVE) があることで、設定が正しくても存在し得ます。Identity Risks は付与された権限と実際に使われた権限の差が大きいユーザーやロールを見つけるもので、AWS CloudTrail のログを取り込むと精度が上がると公式は説明しています (出典: Setting Up Cloud Security)。切り分けの効き目は担当の違いに出ます。誤設定は設定変更で直す基盤担当の仕事、脆弱性はイメージの再ビルドやパッケージ更新をする開発側の仕事になりやすく、同じ一覧に並んでいても直す人が違います。

  • 誤設定 = 設定の状態が規定に合わない (直し方 = 設定変更)
  • 権限リスク = 付与と利用の差が大きい ID (直し方 = 権限の絞り込み)
  • 脆弱性 = パッケージに既知の CVE (直し方 = 更新と再ビルド)
出典: Cloud Security の機能一覧と Setting Up Cloud Security の記載を基に整理 (2026 年 9 月時点)

Security Posture Score は何の割合か

Misconfigurations には security posture score という指標があり、有効になっている既製のクラウド設定ルールとインフラ設定ルールを全て満たしている環境の割合を表します (2026 年 9 月時点・出典: Cloud Security)。スコアを上げる手段は 2 つで、誤設定そのものを直すか、その誤設定をミュートするかです (出典: Datadog Glossary)。ここが運用の分岐で、ミュートは「意図してこの設定にしている」という例外の記録として使い、理由を残さずスコア目当てで消すと監査時に説明できなくなります。週次ダイジェストは利用者ごとに購読し、直近 7 日で見つかった重要な問題の要約が届きます。直した件数ではなく「環境全体の何割が規定を満たしているか」で会話できるのが、この指標の効き目です。

CVSS だけで並べない - 実行時の文脈で優先順位を付け直す

CVSS の高い順に並べただけの一覧では、本番で動いていないパッケージが上位を占めます。公式ドキュメントは Datadog Severity Score という独自の重大度を置き、基本の CVSS に機微データの有無、環境の重要度、攻撃への露出、悪用コードの有無、脅威インテリジェンスを重ねて悪用可能なものを先頭に出すと説明しています (2026 年 9 月時点・出典: Cloud Security Vulnerabilities)。コンテナイメージではレイヤー単位で辿れ、ビルド時に OCI イメージ注釈を付けておけば CVE から Dockerfile と該当コミットまでたどれます。Infrastructure Packages Catalog では全パッケージの在庫 (SBOM) を検索して、新しい CVE の影響範囲を見積もれます。アプリのライブラリの脆弱性は Code Security 側の Software Composition Analysis が担います。

料金表の CSM Pro と CSM Enterprise は何が違うか

2026 年 9 月時点の料金ページでは、CSM Pro と CSM Enterprise がいずれもホストあたりの月額で示され、年契約 / 月契約 / オンデマンドの契約形態ごとに単価が並びます (出典: Datadog Pricing)。Enterprise は Pro の全機能に、ファイル整合性監視、Workload Protection (Linux / Windows / Kubernetes / Docker / AWS Fargate)、コンテナ割当の上乗せを足したものです。境目は「実行中の挙動まで見るか」で、設定と脆弱性までなら Pro、プロセスやファイルの挙動から脅威を検出するなら Enterprise です。ホスト単価とコンテナ単価の実額は料金ページの公開価格表で確認してください。監視側の Pro / Enterprise の違いは別記事に、料金の全体像は料金の読み解きに委ねます。

プラン課金単位契約形態含まれる範囲 (料金ページの特徴文の要約)主な注意点
CSM Proホストあたり / 月年契約 / 月契約 / オンデマンド (年契約が最も低い)CSPM / KSPM / 脆弱性管理 / CIEM / 棚卸し / ケース管理 / Workflow実行中の挙動の検出は含まない
CSM Enterpriseホストあたり / 月同上Pro の全部 + ファイル整合性監視 + Workload Protection + コンテナ割当の上乗せ割当を超えるコンテナは別単価
課金構造の出典: Datadog Pricing (2026 年 9 月時点。カード名は料金ページの表記・単価の実額は同ページで確認)

本記事は課金の仕組みを解説するものです。具体的な単価や料金は Datadog 公式の料金ページで確認してください。

監視の Agent が既にいるホストで追加になる費用は何か

インフラ監視で Agent を入れているホストなら、公式が挙げる「既に配備している unified Datadog Agent を使う」経路で同じ Agent から有効化できます (2026 年 9 月時点・出典: Cloud Security Vulnerabilities)。上乗せは CSM 単価で、課金対象のホストは料金ページ FAQ の定義で、Datadog が監視する物理または仮想の OS インスタンス (サーバー / VM / Kubernetes ノードなど) です (出典: Datadog Pricing)。上乗せの月額は「課金対象のホスト数 × 選んだプランの単価」で決まるので、Agent があるホストの全数で有効化すれば、その全数分がそのまま乗ります。重要ホストだけ Agent 側で有効化し、残りを Agentless で覆うのが費用の初手です。AWS 連携のロールはインテグレーション、Kubernetes での配置はコンテナ監視、閲覧権限は RBAC に委ねます。

有効化の順番はどう決めるか

Agentless Scanning の有効化、重要ホストへの Agent 配備、追加機能 (CI/CD でのコンテナイメージ走査、AWS CloudTrail ログ、クラウド連携経由の資源走査) の有効化、という順で公式の手順は書かれています (2026 年 9 月時点・出典: Setting Up Cloud Security)。運用の型に置き直すなら、1 週目は Agentless だけで Findings と posture score の初期値を取り、2 週目に Agent があるホストで機能を有効化して実行時の文脈つきの優先順位を得て、その後に CI へ走査を入れる順が手戻りを減らします。所見は重要度順に並ぶ Security Inbox に集まり、対応はケースと Workflow Automation で回します。順番を守る理由は 1 つで、Agentless の初期値が無いと Agent を足した効果を測れないからです。

注意点

  • 本記事は 2026 年 9 月時点の公式ドキュメントと料金ページの記載に基づいています。製品名は Cloud Security に改称済みで、料金ページのカード名 (CSM Pro / CSM Enterprise) は同時点の表記です。名称や機能の区分は変わり得るため、迷ったら公式ドキュメントの記載を優先してください。
  • 本記事は課金の仕組みを解説するものです。具体的な単価や料金は Datadog 公式の料金ページで確認してください。
  • Agentless Scanning は一部の Datadog サイト (政府向けサイト) では利用できません (2026 年 9 月時点)。自組織のサイトで使えるかは公式ドキュメントの注記で確認してください。
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