Datadog APM 料金の考え方 - ホスト単価 3 段とスパン割当
Datadog APM の料金は、ホスト単価 3 段 (APM / Pro / Enterprise) と、ホスト数に比例して付くスパンの割当で決まります。割当の合算規則、超過分の課金単位、Lambda と Fargate の数え方を公式ドキュメントに沿って追い、見積を立てる順序まで示します。具体的な単価は公式料金ページで確認してください。
結論 - APM の単価は 3 段で、差は DSM と Profiler の同梱
APM の料金表には APM / APM Pro / APM Enterprise の 3 段が並びます。どの段も APM ホストあたりの月額で課金され、段が上がるごとに Data Streams Monitoring (DSM = データパイプラインの追跡) と Continuous Profiler (コード単位の CPU / メモリ分析) が同梱されます (出典: Datadog Pricing / APM Billing)。料金表に載る単価はインフラ監視と併用する場合のもので、APM だけを契約する場合の単価は公開価格表に出ません (出典: Datadog Pricing)。契約形態は年契約・月契約・オンデマンドの 3 列で、同じ段でも年契約の単価が最も低く、月契約とオンデマンドは割高に設定されています。
| 段 | 課金単位 | 契約形態 | 同梱されるもの |
|---|---|---|---|
| APM | APM ホストあたり月額 | 年契約 / 月契約 / オンデマンド | 分散トレーシング + Universal Service Monitoring |
| APM Pro | 同上 | 同上 | 上記 + Data Streams Monitoring |
| APM Enterprise | 同上 | 同上 | 上記 + Continuous Profiler (ホストあたり 4 コンテナ分) |
料金体系全体は料金体系の読み解き方に委ね、本記事は APM に絞ります。本記事は課金の仕組みを解説するものです。具体的な単価や料金は Datadog 公式の料金ページで確認してください。
割当はホストごとではなく全ホストで合算される
課金が 2 階建てであることは APM の解説で扱ったので、ここでは割当の合算規則に絞ります。Ingested Spans 150 GB と Indexed Spans 100 万 (保持 15 日) の割当は APM ホスト 1 台ごとに付きますが、超過したかどうかは全ホストの合計で判定されます。公式の例では、2 台のうち片方が 250 GB、もう片方が 50 GB を送っても、合計 300 GB は 2 台分の割当 300 GB に収まり追加課金なしです (2026 年 9 月時点・出典: Datadog Pricing の FAQ)。ホストの数は毎時計測され、月末に上位 1% を捨てた 99 パーセンタイルで請求されるので、一時的な増台は請求に響きにくい設計です。コンテナごとに Agent を置くと各コンテナが 1 ホストと数えられること、Kubernetes では Pod ではなくノード単位で数えることは課金ドキュメントに明記されています (出典: APM Billing)。
割当を超えた分の課金 - 取り込み GB と索引スパン数の 2 本立て
割当を超えた分は、取り込み (Ingested) が GB 単位、索引 (Indexed) が 100 万スパン単位で別々に課金されます。索引スパンの超過単価は保持日数 (7 日 / 15 日 / 30 日) が長いほど高く、年契約・月契約・オンデマンドの順に単価が上がる構造はホスト課金と同じです (出典: Datadog Pricing)。公式の課金ドキュメントには、APM ホスト数台で割当を超える量のスパンを送った月の計算例が載っており、請求は「ホスト数 × ホスト単価」「超過した索引スパン数 (100 万単位) × 索引単価」「超過した取り込み GB × 取り込み単価」の 3 行を足した形で組み立てられます。
| 費目 | 課金単位 | 割当との関係 | 計算の形 |
|---|---|---|---|
| APM ホスト | ホスト / 月 | 割当を生む側 (1 台につき Ingested 150 GB + Indexed 100 万) | ホスト数 × ホスト単価 |
| Indexed Spans | 100 万スパン / 月 (保持日数別) | 全ホスト合算の割当を超えた分だけ | 超過分の 100 万単位数 × 索引単価 |
| Ingested Spans | GB / 月 | 全ホスト合算の割当を超えた分だけ | 超過 GB × 取り込み単価 |
| 合計 | 上の 3 行の和 (年契約なら 3 行とも年契約単価で計算) | ||
公式の例では、割当の数倍のスパンを索引し、取り込みも割当を超えているにもかかわらず、超過分の合計はホスト課金を下回ります。超過課金が請求の主役に変わる分岐は、索引スパン 100 万単位の単価とホスト 1 台の単価の比で決まります。公式料金ページでこの比を確かめ、割当を超えた索引スパンの単位数がその比に達しないうちは、取り込み制御の調整よりホスト数の見直しが請求に効きます。
小さなホストが多い構成ほどホスト課金が効く
同じ量のトレースを送っていても、ホストの台数が多いほど請求が膨らむことになります。アプリ全体で送る Ingested Spans と Indexed Spans の月間量を固定し、それを何台のホストで動かすかだけを変えて考えます。
| 構成 | ホスト課金 | 合算した割当 | 超過課金 |
|---|---|---|---|
| 小さなホストを多数 | 台数に比例して最も大きい | トレース量を大きく上回り、大半を使い残す | 発生しない |
| 中くらいのホストを少数 | 中間 | トレース量とほぼ釣り合う | 発生しない |
| 大きなホストを少数 | 最も小さい | トレース量を下回る | 下回った分だけ GB 単位・100 万スパン単位で発生 |
台数を減らして割当を下回った場合の損得は、減ったホスト課金と発生した超過課金の大小で決まります。判定の簡単な方法は、ホスト 1 台分の割当 (Ingested 150 GB + Indexed 100 万) をすべて超過分として買い直した額と、ホスト 1 台の単価を公式料金ページの数字で比べることです。前者が後者を下回るなら、台数を減らして超過分を払う方が安くなります。特に注意が要るのは、Agent をコンテナごとに配置すると各コンテナが 1 ホストと数えられる規則で、Kubernetes でサイドカー方式を採ると Pod の数だけ APM ホストが増えます。コンテナ監視で扱ったように、ノードに 1 つの Agent を置く配置なら課金はノード単位に収まります。APM を有効にするホストを絞る判断が、課金上の効果が最も大きい一手です。
Lambda と Fargate はどう数えるか
サーバーレスにはホストという単位が無いため、数え方が変わります。公式の課金ページは、サーバーレスでは請求対象の APM ホストが発生せず、APM の取り込みスパンに結びついた Lambda 起動の月間合計で課金し、同梱分を超えた Indexed Spans を別途課金すると説明しています (2026 年 9 月時点・出典: Serverless Billing)。
| 対象 | 課金単位 | 同梱される割当 | 計測 |
|---|---|---|---|
| AWS Lambda (Functions APM) | トレース済み起動 100 万回 (1 起動 = 1 トップレベルスパン) | 起動 100 万回あたり Indexed Spans 15 万 | 月間の起動合計 |
| AWS Fargate (Application APM) | トレース済みアクティブインスタンス / 月 | タスクあたり Indexed Spans 19.5 万 + Ingested Spans 30 GB | 5 分間隔で計測した月間平均 |
Fargate はホスト型より割当が小さいため、Fargate 中心の構成では索引スパン数の見積を先に立てます。Lambda は計装して監視対象になった関数の起動がそのまま課金量になるので、どの関数を計装するかを選ぶことが調整手段になります (出典: Serverless Billing)。
APM Pro / Enterprise は単独 SKU を足すより安いか
DSM と Continuous Profiler には単独の SKU もあり、いずれも APM とは別にホストあたりの月額で課金されます (出典: Datadog Pricing)。段を上げて全ホストに同梱するか、単独 SKU を必要なホストだけに載せるかの損得は、その機能を使うホストの割合で決まります。段を 1 つ上げたときのホスト単価の増分 (段差) が単独 SKU の単価より小さい限り、全ホストで使うなら段を上げる方が安く、一部のホストでしか使わないなら「単独 SKU の単価 × 使うホスト数」の方が「段差 × 全ホスト数」を下回ります。分岐点は「段差 ÷ 単独 SKU の単価」で求まる割合で、Kafka のようなデータパイプラインを扱うホストがその割合を超えるかどうかで判断できます。単価は公式料金ページの数字を当ててください。公式 FAQ は両者の単独購入も可能としています (2026 年 9 月時点・出典: APM Billing)。
見積は「ホスト数 → 取り込み GB の実測 → 索引率」の順で
まずホスト数を数えます。APM を有効にする予定のホスト (Kubernetes ならノード) に段の単価を掛ければ、月額の大半が決まります。次に取り込み量を実測します。使用量メトリクスdatadog.estimated_usage.apm.ingested_bytes と datadog.estimated_usage.apm.ingested_spans を先行導入中に見れば、割当 150 GB × ホスト数に収まるかが分かります (2026 年 9 月時点・出典: APM Billing)。使用量画面での確認は料金の確認方法に委ねます。最後に索引率と保持日数を決めます (保持日数が長いほど索引スパンの単価は上がります)。分散トレーシングで取り込んだスパンのうち索引する分は保持フィルターで選べるため、割当 100 万 × ホスト数に収まる率を決めます。設計の考え方は APM の解説の「サンプリング設計」の節に委ねます。逆順だと、請求の大半を占めるホスト課金を触らずに、小さな費目だけを削ることになります。