Datadog On-Call と PagerDuty の比較 - 席課金と連携
PagerDuty を払い続けるか、Datadog On-Call に寄せるかを、席課金の仕組みと連携の形から判断します。単位はどちらも 1 人 1 席で、Datadog On-Call は年契約 / 月契約 / オンデマンドの 3 段、PagerDuty は Free から Enterprise までの段構成です。
結論 - どちらも 1 人 1 席で払い、差は単価の段数と置き場所
料金はどちらも人数で決まります。Datadog On-Call は 1 席あたりの月額で、年契約・月契約・オンデマンドの順に単価が上がる 3 段の契約形態があります (出典: Datadog Pricing)。PagerDuty は 5 ユーザーまで無料の Free、1 ユーザーあたり月額の Professional と Business、個別見積りの Enterprise という段構成で、Professional と Business も年契約と月払いで単価が変わります (2026 年 9 月時点・出典: PagerDuty Incident Management Pricing)。単位が同じなので、軸は「誰に席が要るか」と「席に何が入るか」の 2 つです。Datadog 側で席が要るのは、当番表、エスカレーションポリシー、ページを受ける通知設定のいずれかに入る人で、見るだけなら不要です (出典: Incident Response Billing)。本記事は課金の仕組みを解説するものです。具体的な単価や料金は各社の公式の料金ページで確認してください。
| 製品とプラン | 課金単位 | 契約形態 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Datadog On-Call 単独 | 1 席あたり月額 | 年契約 / 月契約 / オンデマンドの 3 段 (この順に単価が上がる) | 当番と呼び出しの席 |
| Datadog Incident Response 一括 | 1 席あたり月額 | 年契約 / 月契約 / オンデマンドの 3 段 | On-Call と Incident Management を同梱。単独 2 つの合計より安い |
| PagerDuty Free | 無料 | - | 5 ユーザーまで |
| PagerDuty Professional | 1 ユーザーあたり月額 | 年契約 / 月払い | ページ表記は「Standardize incident management」 |
| PagerDuty Business | 1 ユーザーあたり月額 | 年契約 / 月払い | ページ表記は「Automate incident management」 |
| PagerDuty Enterprise | 個別見積り | - | ページ表記は「Custom pricing」 |
機能の対応表は名前で取る
名前を並べると対応が見えます。Datadog On-Call の構成要素は Pages、Teams、Routing rules、Escalation policies、Schedules の 5 つで、通知が発生すると担当 Team へ Page が送られます (2026 年 9 月時点・出典: On-Call)。通知経路はプッシュ通知、メール、SMS、電話の 4 つで、高緊急度の Page に通知設定が無い人へはメールに切り替わります (出典: Notification Preferences)。PagerDuty の料金ページには On-call Schedules、Escalation policies、Routing Rules、Status Pages などの機能名が並び、Free には月に一定件数の SMS / 電話通知が含まれます。当番表、エスカレーション、振り分け、通知経路の 4 系統は両社に同じ役割の部品があり、差はステータスページの扱いと段ごとの解放範囲です。
| 役割 | Datadog On-Call | PagerDuty (料金ページの表記) |
|---|---|---|
| 当番表 | Schedules | On-call Schedules |
| 段階的な呼び出し | Escalation policies | Escalation policies |
| 振り分け | Routing rules (緊急度・対応時間帯) | Routing Rules、Alert Severity |
| 通知経路 | プッシュ通知、メール、SMS、電話 | Email and push notifications、SMS/Phone notifications |
| ステータスページ | 有料契約者が利用可。コミット席があれば無制限 + 独自ドメイン、無ければ 1 ページ | External / Internal / Private Status Pages。Status Pages は購読者数に応じた別課金 |
連携型 - PagerDuty を残し、Datadog のモニターから呼ぶ
PagerDuty を残す形は、連携で成立します。モニターの通知先に @pagerduty-[serviceName] のハンドルを書くと、しきい値超過で PagerDuty の該当サービスが担当者を呼びます。通知本文は 1,024 文字が上限です (2026 年 9 月時点・出典: PagerDuty Integration)。重大度はモニター状態から自動で決まり (ALERT と NODATA は error、WARNING は warning、OK などは info)、変更できません。復旧メッセージにもハンドルがあれば PagerDuty 側も自動で解決され、ハンドルを {{#is_alert}} の中だけに書くと働きません。Incident Management からも直接ページを送れ、通知ルールや Automations の宛先にも使えます。汎用の Webhook で自作するのと比べ、重大度の対応と自動解決が組み込みで付くのがこの連携の値打ちです。
- モニターがアラート状態になる
- 通知に書かれた @pagerduty-[serviceName] へ送信 (本文は 1,024 文字まで)
- PagerDuty の該当サービスが担当者を呼ぶ (重大度は ALERT → error などに自動対応)
- モニターが OK に戻り、復旧メッセージにもハンドルがあれば PagerDuty 側を自動解決
置き換えに踏み切る 3 つの場面
併用か置き換えかの筋道は On-Call の解説に譲り、ここでは席の数字が効く 3 場面に絞ります。1 つ目は、同じ人が Datadog の Incident Management と PagerDuty の席を両方持つ場面です。Incident Response 一括に寄せると PagerDuty 側の席が消え、二重に持っていた人数 × PagerDuty の席単価がそのまま削減の対象です。2 つ目は、使う機能が当番表、エスカレーション、SMS と電話の通知に収まる場面で、前節の対応表で同じ役割の部品を確認できれば穴埋めなしに移れます。3 つ目は、呼び出しの起点が Datadog のモニター、インシデント、セキュリティシグナルに集中する場面です。On-Call の Page はこれらを出所として発生するため、移行の断面が小さくなります (出典: On-Call)。どれにも当たらない組織は、連携型のまま据え置く方が安全です。
- 場面 1: 同じ人が Datadog の席と PagerDuty の席を二重に持つ → 一括に寄せて片方を消す
- 場面 2: 使う機能が当番表 / エスカレーション / SMS と電話に収まる → 対応表で同名の部品を確認して移る
- 場面 3: 呼び出しの起点が Datadog のモニターとインシデントに集中 → 移行の断面が小さい
- どれにも当たらない → 連携型のまま据え置く
PagerDuty が勝る点
まず、Free は 5 ユーザーまで無料で、月に一定件数の SMS / 電話通知が含まれます (2026 年 9 月時点・出典: PagerDuty Incident Management Pricing)。Datadog On-Call は有料の席から始まるため、5 人以下を無料で回すなら PagerDuty に実利があります。次に、監視ツールを問わない集約点です。料金ページは連携例に Datadog、CloudWatch、Splunk、SumoLogic を並べ、複数の監視ツールを 1 つの当番表で受けたい組織に効きます。3 つ目はステータスページで、3 種 (External / Internal / Private) があり、購読者数に応じた別課金で増やせます。最後に Datadog の制約として、On-Call は履歴保存のためページやエスカレーションポリシー、スケジュールを削除できず、試用の組織が別に要ります (出典: On-Call)。
- 無料の席: Free は 5 ユーザーまで無料 + 月に一定件数の SMS / 電話通知
- 監視ツールを問わない受け皿: 連携例に Datadog、CloudWatch、Splunk、SumoLogic
- ステータスページの品揃え: External / Internal / Private と購読者数に応じた別課金 (Datadog はコミット席が無いと 1 ページかつ独自ドメイン不可)
- Datadog 側の制約: ページ / エスカレーションポリシー / スケジュールを削除できない (履歴保存のため)
Incident Response 一括とどう比べるか
Datadog の席は On-Call 単独、Incident Management 単独、両者を同梱した Incident Response 一括の 3 通りで、一括の席単価は単独 2 つの合計より安く設定されています (出典: Datadog Pricing)。Incident Management の席が要るのは、インシデントの書き換えや削除、タイムラインへの追記、タスクや役割の割り当てをする人で、宣言や閲覧、Slack でのコメントだけなら不要です (2026 年 9 月時点・出典: Incident Response Billing)。PagerDuty 側でインシデント管理の自動化まで含む段は「Automate incident management」と表記される Business です (機能面の対応は本記事では判定しません)。どちらも 1 席あたりの月額という同じ単位なので、判断の軸は単価の大小ではなく、呼び出しとインシデントの記録がモニターと同じ画面に残るかに移ります。
| 構成 | 単価の位置 | 含むもの (公式表記) |
|---|---|---|
| Datadog On-Call 単独 | 最も低い席 | 当番と呼び出し |
| Datadog Incident Management 単独 | On-Call 単独より高い席 | 宣言から振り返りまでの記録 |
| Datadog Incident Response 一括 | 単独 2 つの合計より安い | On-Call と Incident Management を同梱 |
| PagerDuty Professional | 有料の下段 | 「Standardize incident management」 |
| PagerDuty Business | 有料の上段 | 「Automate incident management」 |
二重に払わない構成をどう組むか
構成は 3 つです。1 つ目は連携のみで、当番表とエスカレーションを PagerDuty に置き、Datadog はモニターのハンドルから呼ぶだけです。On-Call の席が要る条件は当番表、エスカレーションポリシー、通知設定の 3 つなので、この構成なら On-Call 席はゼロです (2026 年 9 月時点・出典: Incident Response Billing)。2 つ目は段階移行で、チーム単位の寄せ方は On-Call の解説に譲ります。同じ人が両方に残ると席が二重になる点だけ、ここで押さえます。3 つ目は置き換えで、Incident Response 一括に統一して PagerDuty を解約します。年契約と月契約で席単価に差があるので、移行期間だけ月契約で試す手は年契約とオンデマンドの記事の考え方が使えます。料金全体は料金の読み解きで扱っています。