Datadog と Mackerel の比較 - 日本製監視 SaaS との使い分け

はてなが提供する Mackerel と Datadog を、料金表の構造、ホストの数え方、守備範囲の 3 点で並べます。円建て税込で始められる Mackerel が軽い場面と、アプリ層やログまで 1 つにまとめたいときに Datadog が活きる場面を、双方の公式ページの料金表の構造だけで比べました。

結論 - ホスト監視を円建てで小さく始めるなら Mackerel、層をまたぐなら Datadog

使い分けの条件を先に示します。監視の対象がサーバーとクラウドリソースの状態 (CPU、メモリ、ディスク、死活) で、台数が数台から数十台、請求は円建てが良い、という条件なら Mackerel が軽い選択です。料金表はスタンダードホスト 1 台あたりの月額が税込の円建てで示され、最低利用料金もスタンダードホスト 1 台分と同額から始まります (2026 年 9 月時点の料金表の構造・出典: Mackerel 料金)。一方、アプリケーションの遅延を分散トレーシングで追い、ログと実ユーザーの体験まで同じタグで横断したいなら、製品を層ごとに足せる Datadog の構造が活きます。ホスト監視はインフラ監視の Pro と Enterprise がホスト単位の米ドル建て月額で、年契約・月契約・オンデマンドの 3 列で単価が変わります (2026 年 8 月時点・出典: Datadog Pricing)。違いは通貨と請求の形、ホストの数え方、ホスト監視の外側に何があるかの 3 点に集まるので、その順に並べます。本記事は課金の仕組みを解説するものです。具体的な単価や料金は各社の公式の料金ページで確認してください。

Mackerel の守備範囲と料金表の読み方

Mackerel はロール (役割) の概念でホストを分類し、mackerel-agent を入れたホストのメトリックを 1 分間隔で保存する SaaS です (2026 年 9 月時点・出典: Mackerel ヘルプ 概要)。料金表はフリーとスタンダードの 2 プランで、スタンダードの単価は全て税込の円建てです。

Mackerel スタンダードプランの課金単位と数え方 (2026 年 9 月時点の料金表の構造)
費目課金単位数え方と割当
スタンダードホスト台 / 月 (税込 JPY)mackerel-agent を入れたホストと VM 系インテグレーションのインスタンス。ホストメトリックの割当を含む (個数は料金ページで確認)
マイクロホスト台 / 月 (スタンダードホストより低い単価帯)コンテナエージェントをサイドカー登録した Pod やタスク、VM 系以外のクラウドインテグレーションのコンポーネント。スタンダードホストより少ないホストメトリックの割当を含む
追加メトリックメトリック / 月毎分のデータを 1 ヶ月投稿すると 1 メトリックと数える
トレースのスパン100 万スパン一定量までの無料枠があり、超過は 100 万ごとに切り上げ
最低利用料金月 (スタンダードホスト 1 台分と同額)課金対象機能を使った月は最低利用料金に切り上げ。使わない月は請求なし
出典: Mackerel 料金 (2026 年 9 月時点)。ホスト台数は 1 ヶ月の平均で算出し、1 時間程度以内の間隔でカウントされる。具体的な単価は同ページで確認

フリープランはホストの合計台数、メトリック数、グラフ表示期間、監視ルール数、カスタムダッシュボード数に上限があり (上限値は料金ページで確認)、スタンダードではグラフ表示期間が長くなり、監視ルールとダッシュボードの上限も緩みます (一部はリクエストで緩和)。外形監視は一定件数まで最低利用料金に含まれ、超過は件数の束ごとにスタンダードホスト 1 台分の費用に換算されます。ロール内異常検知 (機械学習) も対象ホスト数の束ごとにスタンダードホスト 1 台分と、追加機能もホスト単価に換算して数える設計が貫かれています。

Datadog 側で比べる相手は Infrastructure の Pro と Enterprise

Datadog で Mackerel のスタンダードホストに相当するのはインフラ監視の Pro と Enterprise です。単価はホストあたりの月額で Pro と Enterprise の 2 段、いずれも年契約・月契約・オンデマンドの 3 列で示され、年契約が最も低くなります。Free プランはホスト 5 台までメトリクス保持 1 日で使えます (2026 年 8 月時点の料金表の構造・出典: Datadog Pricing)。割当はホストごとに付き、Pro でコンテナ 5 台分とカスタムメトリクス 100 個、Enterprise でコンテナ 10 台分とカスタムメトリクス 200 個、メトリクスの保持はどちらも 15 ヶ月です。Mackerel と違い、コンテナやクラウドのコンポーネントは別単価のホストではなく、ホスト単価の中の割当として数えます。米ドル建ての料金表に 3 つの単価列が並ぶ読み方は料金体系の読み解き方に委ねます。無料で試す範囲の詳細は無料プランとトライアルにまとめています。

同じ台数で比べるときに見る変数 - 通貨、契約形態、割当

為替を挟むと結論が日々変わるため、通貨を換算して金額を並べることはしません。「エージェントを入れたホスト N 台、コンテナやクラウドコンポーネントの追加なし、割当内のメトリクス」という前提で、月額を決める式と、その式に入る変数を並べます。

ホスト監視だけを N 台契約した場合の月額の式と変数 (Mackerel は 2026 年 9 月時点、Datadog は 2026 年 8 月時点の料金表の構造)
構成月額の式単価の通貨と契約形態含まれる割当の例
Mackerel スタンダードホスト N 台N × スタンダードホスト単価税込 JPY。月ごとのクレジットカード請求ホストメトリックの割当 / 台、長期のグラフ表示期間、外形監視の一定件数
Datadog Pro N 台N × Pro ホスト単価USD。年契約 / 月契約 / オンデマンドで単価が変わるコンテナ 5 台分 / ホスト、カスタムメトリクス 100 個 / ホスト、保持 15 ヶ月
Datadog Enterprise N 台N × Enterprise ホスト単価USD。同上コンテナ 10 台分 / ホスト、カスタムメトリクス 200 個 / ホスト
課金単位の出典: Mackerel 料金 / Datadog Pricing。単価は各社の料金ページで確認し、通貨は換算しない

この表で読むべきは絶対額より「何が単価に含まれるか」と「単価を動かす条件」です。Mackerel はホストメトリックの割当と外形監視の一定件数が基本料金に入り、超えた分をメトリック単価とホスト換算で足していきます。単価は契約形態で変わらず、円建てなので為替の影響も受けません。Datadog はコンテナとカスタムメトリクスの割当をホスト単価に含め、APM やログのような別の層は別 SKU として積み上げます。単価は年契約か月契約かオンデマンドかで変わり、米ドル建てなので円の予算に対しては為替が変数になります。台数が同じでも、コンテナが多い環境では Mackerel のマイクロホストの単価が台数分積み上がり、Datadog は割当 5 台分を超えた分だけコンテナ単位の単価が乗る、というように増え方の形が違います。見積では必ず自分の環境のコンテナ数とメトリクス数を当てる必要があります。

Mackerel が勝るのは請求の形、入口の低さ、日本語の窓口

料金表の通貨から違います。Mackerel の単価は全て税込の円建てで、支払いはクレジットカードへの月ごとの請求、領収書はオーナー宛にメールで届き Web コンソールからも取得できると公式の FAQ に書かれています (2026 年 9 月時点・出典: Mackerel 料金)。円で予算化する手間と為替差が発生しません。入口も低く、スタンダードホスト 1 台分の最低利用料金 (税込) で有料機能を使い始められ、課金対象の機能を使わない月は請求が発生しません。サポート面では、営業日 10:00〜19:00 の対応が利用料金に含まれること、導入を支援する有償のオンボーディング支援プログラムがあることが同じ FAQ に明記されています。ヘルプの原文が日本語という点も (出典: Mackerel ヘルプ 概要)、運用チームが原文のまま読める一次情報として実利があります。規模が小さく対象がホスト監視に収まる組織では、この差だけで Mackerel を選ぶ理由になります。

Datadog が活きるのはホストの外側を同じタグでつなぐとき

Datadog を選ぶ理由は、ホスト監視の外側に何が要るかで決まります。APM でリクエスト単位の遅延を追い、ログ管理で同じリクエストのログへ飛び、RUM で利用者側の体験まで見る、という層をまたぐ調査を 1 つの画面と 1 つのタグ体系で行える設計が中心です。Mackerel にも OpenTelemetry 経由のトレーシングとログ機能があり (2026 年 9 月時点・出典: Mackerel 料金 の FAQ / Mackerel ヘルプ 概要)、スパンには一定量までの無料枠がありますが、Datadog は各層が独立した製品として単価と割当を持ち、必要な層だけを足す前提です。インテグレーションで AWS や Azure のリソースを取り込むと、その課金もホスト単価の割当と別 SKU の組み合わせで数えます。Datadog が活きる条件は「ホスト監視を入口にして、遅延調査やログ調査へ層を広げる計画がある」ことです。ホスト監視で完結するなら、この構造の利点は費用に見合いません。

乗り換えるときに見る 5 点

Mackerel から Datadog へ、あるいはその逆へ移るときに確認する項目は、どちらの方向でも同じです。

  • 1. メトリクスの命名: ホストメトリックの名前と単位が両者で異なるため、ダッシュボードとアラートの参照名を全て書き換える前提で棚卸しする
  • 2. アラートの移し替え: Mackerel の監視ルール (プランごとに上限あり) と Datadog のモニターは条件の書き方が違う。しきい値と通知先を表に出してから作り直す
  • 3. ダッシュボード: 自動変換を前提にせず、よく見る数枚だけを先に作り、残りは並行期間中に必要になったものだけ移す
  • 4. エージェントの置換: 全台を一度に入れ替えず、ロール (Mackerel) やタグ (Datadog) の単位で段階的に切り替える
  • 5. 並行期間: 双方の料金が二重に発生する期間を 1〜2 ヶ月と決め、Mackerel の最低利用料金と Datadog の月契約で費用の上限を先に固定する
移行時の 5 つの確認項目 (割当と上限の数値は Mackerel 料金 / Datadog Pricing の 2026 年時点の記載)

5 点のうち費用に直結するのは 5 の並行期間です。Mackerel は課金対象の機能を使わなければ請求が発生せず、Datadog は月契約なら翌月に止められるので、並行期間の出口は両方とも軽く作れます。判断を急ぐより、数台を両方に見せて「同じ障害のときに、どちらの画面で何分早く原因に着けたか」を並行期間中に 2〜3 回記録する方が、料金表を眺めるより確かな材料になります。導入判断の一般的な手順は導入判断チェックリストを、OSS からの移行は Zabbix との比較をあわせて参照してください。

参考資料

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