Bits AI

Datadog に蓄えた監視データを相手に自然言語で問いかけ、アラートの調査やコード修正やセキュリティの一次判定を任せられる生成 AI 側の機能群です。何を任せ、どこから先を人が決めるかを公式の記載の範囲で線引きします。

何ができるか

Bits Chat で「この 1 時間の 400 エラーの原因は」と自然言語で尋ねてメトリクスやログやトレースを横断検索し、Bits Investigation にアラートの調査を委ねて仮説と根拠を集めさせ、Bits Code にコードの修正案をプルリクエストとして作らせます。Cloud SIEM のシグナルは Bits Security Analyst が調査して判定案を出します。課金は AI Credits という単位で行われます。

どのような場面で使うか

深夜のアラートで最初の 15 分を仮説の洗い出しに使いたい当番、障害の原因になった変更をコードまで追ってプルリクエストの下書きを得たい開発者、大量のセキュリティシグナルを一次判定してから人が見たいセキュリティ担当、ダッシュボードの作り方を覚える前に「見せてほしい」と頼みたい利用者に向きます。

身近な例え

ホテルのコンシェルジュです。「近くで 22 時以降も開いている店は」と尋ねれば、館内の資料と外の予約系統を調べて候補と根拠を並べ、頼めば予約まで取ってくれます。ただし、どの店に行くかを決めるのは客であり、客の名前で取れる予約の範囲を超えることもありません。

結論 - 向きが違う 3 つの AI を見分ける

Datadog で「AI」と呼ばれるものは 3 つの向きに分かれます。Bits AI は、利用者が対話で調査を進めたり、調査や修正といった仕事を丸ごと委ねたりする生成 AI 側の機能群です。公式ドキュメントは「開発、セキュリティ、運用のワークフローを自動化するために作られた、Datadog の中のエージェント型のチームメイト」と位置づけ、リアルタイムに会話することも、アラート調査、コード修正、セキュリティのトリアージといった仕事を任せることもできると説明しています (2026 年 9 月時点・出典: Bits AI)。LLM Observability は向きが逆で、自分たちが作った LLM アプリを監視する側です。Watchdog は設定なしで動く組み込みの異常検知で、人が問いかけなくても動きます。料金は AI Credits という単位で計られますが、単価は公開価格表の SKU 行に無いため本記事では数字を書きません。

Datadog の 3 つの AI の向き
名前向き人の関わり方
Bits AIDatadog の監視データを相手に、対話で調査を進める、または調査や修正を委ねる問いかける、任せる、結果を確認する
LLM Observability自社の LLM アプリのトレース、トークン、評価を監視する計装して見る (監視される側は自社の AI)
Watchdogメトリクスやログの異常を設定なしで自動検知する結果を受け取る (問いかけない)
出典: Bits AI ほか各機能の公式ドキュメント (2026 年 9 月時点)。LLM Observability と Watchdog の詳細は本サイトの各解説へ

構成要素は 7 つで 3 つは Preview

公式ドキュメントの Features には 2026 年 9 月時点で 7 つの機能が並びます (出典: Bits AI)。Bits Investigation は本番の問題を最初から最後まで調べる自律型のエージェントで、仮説を立て、テレメトリを集め、データに基づく推論で当番のエンジニアが根本原因を特定するのを助けます (出典: Bits Investigation)。Bits Code は監視データからコードの問題を診断し修正する生成 AI のコーディング支援で、ソースコード管理サービスと連携してプルリクエストまたはマージリクエストを作り、CI のログと開発者の指摘を受けて修正を重ねます (出典: Bits Code)。Bits Security Analyst は Cloud SIEM のシグナルを調べ、判定の推奨を出します (出典: Bits Security Analyst)。Bits Chat は自然言語の入口で、残る 3 つは公式ページに Preview の表記があります。

Bits AI の 7 機能 (2026 年 9 月時点の公式ドキュメントの表記)
機能公式の説明 (要約)提供状態
Bits Chat自然言語で Datadog を横断検索し、操作するWeb アプリ、モバイルアプリ、Slack で利用可
Bits Investigation本番の問題を自律的に調査し、根本原因の特定を助ける提供中
Bits Code監視データからコードの問題を診断し、プルリクエストを作る提供中
Bits Security AnalystCloud SIEM のシグナルを調査し、判定を推奨する提供中
Bits Data Analysis業務データを自然言語で探索するPreview
Bits Detection影響の大きいサービス劣化を自律的に監視するPreview
Bits Remediation根本原因に対して処置を取る一部の機能が Preview
出典: Bits AI の Features、Bits Data Analysis、Bits Detection、Bits Remediation。「提供中」は各ページに Preview 表記が無いことを指す

入口は Web / モバイル / Slack の Bits Chat

日常の入口は Bits Chat です。公式ドキュメントは「自然言語で Datadog を横断して検索し、操作する」機能とし、Web アプリ、モバイルアプリ、Slack で使えると記載しています (2026 年 9 月時点・出典: Bits Chat)。同ページの質問例は「直近 1 日の重大度の高いインシデントを要約して」「checkout エンドポイントで直近 1 時間に 400 エラーが出ている原因は」といった調査の問いで、根拠として モニター、ログ、トレースを Bits が引いてきます。問いの範囲が答えの範囲を決めるため、サービス名と時間帯と症状を含む問いは調べる範囲が定まり、「何か変」だけの問いは定まりません。Slack から使える意味は、障害対応の会話が起きている場所で画面を切り替えずに最初の問いを投げられる点にあり、当番が状況を書く手がそのまま調査の起点になります。

料金の単位は AI Credits、数字は公開価格表で

Bits AI の課金は AI Credits で計られます。公式ドキュメントは「1 AI Credit は Datadog の AI 製品が行う知的な作業の 1 単位」と定義し、消費する製品として Bits Chat、Bits Investigation、Bits Code、Bits Agent Builder を挙げています (2026 年 9 月時点・出典: AI Credits)。価格階層と管理機能は下の図のとおりで、単価は公開価格表の SKU 行に無いため本記事では書きません。ホストや GB の単価と違い「知的な作業の単位」は使い方で消費が大きく変わるため、利用者単位の上限を先に置き、実消費を見てから組織の上限を決める順番が安全です。料金体系全体の読み方は 料金体系の読み解き方 へ。本記事は課金の仕組みを解説するものです。具体的な単価や料金は Datadog 公式の料金ページで確認してください。

  • 年契約 (Annual Commit): 12 か月のコミット、月次請求、クレジットは束で購入
  • 月契約 (Monthly Commit): 月ごとの契約、クレジットは束で購入
  • オンデマンド (On-Demand): コミットなし、実使用量に基づく月次請求
  • 管理: 組織単位と利用者単位の月間クレジット上限、特定の製品の無効化
出典: AI Credits の Pricing と Admin controls (2026 年 9 月時点)。単価は公式料金ページで確認

外の AI エージェントからは MCP Server で繋ぐ

対になるのが Datadog MCP Server です。Bits AI が Datadog の中の AI なら、MCP Server は外の AI エージェント (コーディング支援ツールやチャットクライアント) から Datadog のデータへ橋を架ける側で、詳細は MCP Server の用語解説に委ねます。権限とデータの扱いは公式に明記があります。MCP Server は認証した利用者本人の資格情報を Datadog API へ渡すため、既存のアクセス制御がそのまま効き、利用者が画面で見られない資源には届きません。Datadog のデータを第三者の AI プロバイダーへ送るのは利用者側の AI クライアントで、その流れは利用者側の契約に従います。ツール呼び出しの多くはモデルを介さず Datadog を直接照会し、意味検索など一部だけが Datadog の AI プロバイダーのモデルを使い、無効化できます (2026 年 9 月時点・出典: Datadog MCP Server)。

MCP Server の権限とデータの扱い (2026 年 9 月時点)
観点公式ドキュメントの記載
権限利用者本人の資格情報を転送。RBAC など既存の制御がそのまま適用され、権限を越えた参照はできない
受け取るものツール名と引数だけ。プロンプトやモデルの推論は受け取らない
外部への送信MCP Server は外部ドメインへ送信しない。AI プロバイダーへ何を送るかは利用者側のクライアントが決める
AI モデルの利用多くのツールはモデルを介さない。意味検索など一部だけが Datadog の AI プロバイダーのモデルを使い、無効化できる
記録ツール呼び出しは Audit Trail で追える
上限と適格性10 秒あたり 50 リクエストのバースト。HIPAA 適格、GovCloud は非対応
出典: Datadog MCP Server

何を任せて、何を人が決めるか

公式の言葉では、Bits AI が出すものは「仮説と根拠」「修正案のプルリクエスト」「判定の推奨」です。Bits Investigation は根本原因の特定を「助け」、Bits Code はプルリクエストを「作り」、Bits Security Analyst は判定を「推奨」します (2026 年 9 月時点・出典: Bits Investigation、Bits Code、Bits Security Analyst)。最後の決定は人に残る設計です。運用では、任せてよいのは「集める、並べる、下書きする」、人が持つのは「採用する、マージする、閉じる」です。インシデント の宣言など取り消せない判断は、Bits の出力を根拠の 1 つとして扱い、人が決めた記録を残します。Bits Remediation (Preview) が処置を取る側へ広げても線は変わりません。範囲を広げる前に、利用者単位のクレジット上限と Audit Trail を整え、出力を検証できる人が読む体制を作るのが順番です。

注意点

  • 本記事は 2026 年 9 月時点の公式ドキュメントの記載に基づいています。Bits Data Analysis、Bits Detection、Bits Remediation (一部) は同時点で Preview の表記があり、一般提供時に内容と名称が変わり得ます。
  • Bits AI と MCP Server の単価は公開価格表の SKU 行に無いため、本記事では数字を書いていません。課金の単位 (AI Credits) と価格階層の名称のみ公式ドキュメントに基づいて記載しています。料金の確認は公式料金ページで行ってください。
  • 本記事は課金の仕組みを解説するものです。具体的な単価や料金は Datadog 公式の料金ページで確認してください。生成 AI の出力の正確さや性能について、本記事は主張しません。
共有する