Watchdog (ウォッチドッグ)

Watchdog とは、Datadog に組み込まれた自動の異常検知機能で、利用者が条件やしきい値を設定しなくても、メトリクスとログの平常時の振る舞いを学んだベースラインから外れた動きを見つけて知らせます。自分で作るモニターの網の外側を見張る役割を担います。

概要

Datadog の Watchdog は、設定なしで動く自動の異常検知機能です。Datadog はこれを、アラート、インサイト、根本原因分析を自動で提示する AI エンジンと位置づけています (2026 年 9 月時点)。平常時の振る舞いからベースラインを計算し、APM のエラー率やレイテンシ、主要インテグレーションのインフラメトリクス、ログのエラー急増などがそこから外れると異常として一覧に載せます。モニターを作り込む前の初期段階、そして誰も条件を書いていない場所で何かが壊れたときの取りこぼしを減らしたいときに気にする概念です。

設定なしで動く Datadog 組み込みの異常検知

Datadog の Watchdog は、Datadog に組み込まれた自動の異常検知機能です。Datadog はこれを、プラットフォーム全体の観測データから自動のアラート、インサイト、根本原因分析を提示する AI エンジンと位置づけています。すべての機能が組み込み済みで設定を要しません (2026 年 9 月時点・出典: Datadog Watchdog)。仕組みの中心はベースラインで、システムやアプリケーション、デプロイの期待される振る舞いを先に計算し、そこから外れた動きを異常として拾います。人が「CPU 使用率が 80% を超えたら」と条件を書く モニター と違い、何を正常とみなすかを Watchdog 側が履歴から決めるのが最大の特徴です。

何を見張り、何を見ないのか

Watchdog Alerts が走査する対象は 3 系統に分かれます。APM ではすべてのサービスとリソースのエラー率、レイテンシ、ヒット数 (リクエスト数) を見ます。ノイズを避けるため 1 秒あたり 0.5 リクエスト未満のエンドポイントは対象外で、ヒット数だけが動いてもレイテンシやエラー率に影響がなければ無視されます。インフラでは System インテグレーションのホストメモリと TCP 再送率を見ます。加えて Redis / PostgreSQL / MySQL / Docker / Kubernetes など 9 製品のインテグレーションと、S3 / RDS / Lambda など 7 種の AWS サービスが対象です。ログでは warning や error のログの出現と急増を取り込みの時点で検知します (2026 年 9 月時点・出典: Watchdog Alerts)。裏返せば、この一覧に無い独自のメトリクスや業務の KPI は Watchdog の視界に入りません。

ベースラインに必要な履歴と結果の見え方

検知が始まるのは履歴がたまってからです。メトリクスの異常は最短 2 週間、ログの異常は最短 24 時間の履歴が必要で、6 週間ぶんあると最も精度が出ます (2026 年 9 月時点・出典: Watchdog Alerts)。

  • 履歴の蓄積 (メトリクスは 2 週間 / ログは 24 時間が最短)
  • 平常時の振る舞いからベースラインを計算
  • ベースラインから外れた動きを異常として検知
  • Watchdog Alert Explorer / APM サービスページ / Insights パネルに表示
  • 通知が要るなら Watchdog モニターを作って届ける
出典: docs.datadoghq.com/watchdog/alerts/ と monitors/types/watchdog/ の記述を基に流れを整理 (2026 年 9 月時点)

見つかった異常のカードには、進行中 / 解消 / 期限切れ (48 時間を超えて続いたもの) の状態、期間、影響範囲を示すタグ、分かる場合は利用者やサービスへの影響が載ります。これが無いと、誰もモニターを書いていないサービスで何かが壊れたとき、最初の知らせが利用者からの申告になります。Watchdog は、人が条件を書き終える前の期間と、書き漏らした場所を埋める見張りです。

モニターとの違いは、誰が条件を決めるか

モニター は、見る対象、比べる条件、しきい値、通知先のすべてを自分で決めます。異常検知モニターや予測モニター、外れ値モニターも同じ季節性のアルゴリズムで動いています。Datadog は守備範囲の外のメトリクスを見たいときや感度を変えたいときにこれらを作るよう案内しています (2026 年 9 月時点・出典: Watchdog Alerts)。Watchdog は対象を選ばずに全体を走査し、感度の調整はモニター側で行う前提です。通知の扱いも異なり、Watchdog の検知はまず一覧に載るものです。人に届けるには Monitors から Watchdog という種類のモニターを作り、環境、アラートのカテゴリ、チームで絞ってから通知先を設定します (2026 年 9 月時点・出典: Watchdog Monitor)。つまりモニターは「決めた約束が守られているか」を、Watchdog は「約束を決めていない場所で異変が起きていないか」を見張る、という分担になります。

料金欄が無いことと「モニター不要」の誤解

Datadog の pricing ページに Watchdog 単独の料金欄はありません。インフラ監視の比較表では「Watchdog: Automated insights」の行に Enterprise の列だけ印が付きます。ログ管理の機能一覧にも Watchdog Insights によるログ異常の検知が挙がっています (2026 年 9 月時点・出典: Datadog Pricing)。本記事は課金の仕組みを解説するものです。具体的な単価や料金は Datadog 公式の料金ページで確認してください。ここから生まれやすい誤解が「Enterprise なら Watchdog があるのでモニターは要らない」というものです。前の節のとおり守備範囲はエラー率、レイテンシ、ヒット数と指定のインテグレーション、ログの急増に限られ、SLO の目標値や業務固有の条件は Watchdog が知りようのない約束です。アラート の設計はモニターで行い、Watchdog はその網の外側で起きた予想外を拾う補助線として置く、と理解しておくと期待値を誤りません。

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